GMはPLよりも我慢しなくちゃいけないんですか?

GMの強権を保証する冴えたやり方 - TRPG履歴
GMは、セッションの目的に合致する限り、強権を保証されている。とどのつまり、特に明示されない限りは、「ゲーム」で遊んでいる以上、「参加者が楽しくプレイする」ためにのみ、GMの強権は保証されている、ということになる。
そのためならなにやったっていい。しかしPLが不満を持ったら、GMの強権を保証する基盤が崩壊します。そのためにも、PLは不満については明言する義務を負うべきだろうと思います。
言われなきゃわかんないよエスパーじゃないもの、とGMが言っても私は驚きませんし、他の参加者に遠慮してPLが不満を打ち明けられないという心理も、それはそれで理解できます。
「みんなが楽しく遊ぶために自分が我慢しなきゃいけない」ことを、どの程度受け入れられるかは個人差のある問題ですが、少なくともGMは強権を保証されてる分だけはPLよりも我慢しなきゃいけないことは多いだろう、と思います。
それがGMをやる上での敷居を引き上げるかもしれないですけどね。

 こちらのエントリーへのトラックバックで上記エントリーが記載されていました。
気付いたのは最近で、それはうちの面子から「GMはPLよりも我慢しなくちゃいけないんですか?」という本エントリー名の質問があった為です。

GMはPLよりも我慢しなくちゃいけないんですか?

 結論から言うと、そんな事はありません。
GMは参加者(もちろんGM自身も含みます)が楽しめるようにセッションを行う必要があります。
しかし、同様にPLにも参加者(もちろんPL自身も含みます)が楽しめるようにセッションを行う必要があるのです。
GMとPLはどちらが上とか偉いとかそういう関係ではありません、あくまでも対等な関係です。
したがって、GMはPLよりも我慢しなくちゃいけないという事はないのです。
 
 以前私がした体験を書きます。
1つ目はGMはPLよりも我慢しなくちゃいけないという考え方に陥っていたPLとのセッションで、2つ目はPLはGMよりも我慢しなくちゃいけないという考え方に陥っていたGMとのセッションです。
 1つ目のGMはPLよりも我慢しなくちゃいけないという考え方に陥っていたPLとのセッションですが、私がカオスフレア*1のGMをしてセッションを開いた際、コンベンションということもあり、提示した条件はクイックスタートから選ぶだったのですが、「私のキャラクターはダスクフレアです」と仰るPLさんがおられました。
「カオスフレアでは、PCはカオスフレアという前提があるし、ダスクフレアになるのはルール上無理。ダスクフレアになりかけたけど今はカオスフレアとか設定面ならいいよ」と言ったんですが、相手はデータ面も設定面も譲らず、最終的にはその方のお知り合いの方と一緒に帰ってしまう事態になりました。
そのPLさんは最後まで「GMなんだからPLの要求くらい我慢して飲めよ」と仰っておられました。
 2つ目のPLはGMよりも我慢しなくちゃいけないという考え方に陥っていたGMとのセッションですが、これはアレなDMとダイナシPL - 日記兼日々のボヤキで記載しています。
 両方とも極端かも知れませんが、どちらかがどちらかより我慢するべきだという考え方はこの様な自体を生み出すことになるかもしれません。

では我慢ではなく何をしなくてはいけないのでしょうか?

 上記でも記載しましたが、参加者が楽しめるようにセッションを行う必要があります。
もし一方が我慢をし、他方が我慢をしない場合、ゼロサム*2な関係になってしまいます。
そうではなく、GMもPLもどちらも我慢するのではなく、お互いに納得出来る点を探すのがしなくてはいけないことです。
これはWin−Winの関係とも非ゼロサム*3な関係ともいえます。
 
 分かり易い様に、例をあげてみましょう。
 あなたは友人の家で遊んでいる最中に、どうしてもタバコが吸いたくなりました。
しかし、友人は家ではタバコを吸って欲しくないと言っています。
この場合、あなたが友人の家でタバコを吸えば、友人が我慢し、あなたが我慢しないので、ゼロサムが成立します。
同じ様に、あなたが友人の家でタバコを吸うのを諦めれば、あなたが我慢し、友人が我慢しないわけですから、こちらもゼロサムが成立してしまいます。
ゼロサムにするには、あなたがタバコを吸えて、かつ吸うのは友人の家の中以外となりますから、吸う場所はベランダや家の外となります。
ベランダや家の外で吸えれば、あなたも友人も我慢しなくてすむわけですから、非ゼロサムが成立します。
 この様に、お互いの主張のどちらかだけを通すのではなく、お互いの主張の両方が通るところ*4を探してそこに持っていく様にすることが、GMとPL双方がしなくてはいけないことなのです。
 
 この考え方でアレなDMとダイナシPL - 日記兼日々のボヤキを考えてみると、以下の様になります。

  • GMとしては、シナリオ上PCのいずれかに貴族の次男坊という設定が付いている必要があった。
  • PLとしては、事前にシナリオにおける必要な設定を聞いていなかったので、ある程度好きに設定できると思っていた。

ここから導き出されることは、GMはハンドアウトとして「キミはとある名門貴族の次男/次女だ」を渡し、PLはそのハンドアウトに書いてある部分に反しない設定をすることとなります。
 あの時は残念ながら、DMさんはF.E.A.R.ゲームで採用されているハンドアウトや今回予告といった方法は全く使わない方だったことに加えて、PLと一緒に楽しもうという気持ちが少しばかりかけていた、PLとしての自分も相手の気を悪くしない様な対応をうまくとれていなかったことでしょう。
 TRPGはPL間で協力して、GMの提示する試練に対抗するものですが、GMの目的もPLたちに勝利するものではない、数少ない非ゼロサムゲームです。
 皆さんも、TRPGでゼロサムな関係にならない様にうまくお互いの主張の両方が通るところを探してそこに持っていく様にしてください。

*1:旧版

*2:我慢した方を損、我慢しなかった方を得と分けた場合、双方の利得の総和が常に零になる

*3:お互いに我慢しない為、双方損をしないので双方の利得の総和が常に零にならない

*4:落としどころ