第二、第三の前衛という選択

前回に引き続き、今回はシーフに関しての考察
をする予定でしたが、「かっこいい前衛職」の落とし穴と、スタンダードキャラの効用。という考察をちょうどみたので、それに関して考察してみます。
(以下の文は、良し悪しを語るものではありません)

シーフやアコライトに武器攻撃系のサポートクラスを付けて第二・第三の前衛を演じる人は多いんですが、オンセに参加したり見学したりログを読んだりする限りでは、なんとも微妙な感じ。


PLの趣味や選択にケチつけるわけじゃないですが、「結果的に」GMの戦闘バランスと噛み合わず、いまいち活躍できないケースが多い、というか。

  • メインクラスがウォーリアのPCは、多くの場合《バッシュ》を完備するかサムライやガンスリンガーを選んで充分な攻撃力を確保している。
  • アタッカー志向のアコPLやシーフPLは、ウォーリアとの差別化も兼ねて「見た目重視」でモンク・ガンスリンガー・ダンサー等の変化球キャラを選ぶことが多い。
    • しかしウォーリアとレンジャーを除く攻撃系サポートクラスには《バッシュ》系スキルも波動砲も無いため、転職無しでは若干パンチ力不足。
    • また、PLがメインクラスのスキルを完璧に揃えようとしすぎるか、奇をてらってパッシヴ強化を固めずコスト消費型スキルに走ってしまうと、さらに攻撃力格差が広がる。
  • 一方、GMはウォーリアPCの攻撃力を基準に戦闘バランスを構築することが多く、重装甲のエネミーが好んで起用される傾向も見られる。結果、アコやシーフがダメージソースとして機能不全を起こすことも珍しくはない。
    • こうした状況を打開するために、モンクの《ペネトレイトブロウ》やメイジの《ウェポン》系スキルが多用されるらしい。
    • ちなみに《ウェポン》が必須扱いされるのは、(リソース効率よりも)前衛PCの活躍機会に横並び感を与えるためではないか?というのが、やや穿った自分の見解。

◆メインクラスがウォーリアのPCは、多くの場合《バッシュ》を完備するかサムライやガンスリンガーを選んで充分な攻撃力を確保している。
◆しかしウォーリアとレンジャーを除く攻撃系サポートクラスには《バッシュ》系スキルも波動砲も無いため、転職無しでは若干パンチ力不足。
この指摘には私も一部同意見です。
ダンサーの《エアリアルレイブ》は明らかに《バッシュ》系であるし、モンクの《ペネトレイトブロウ》は時に《バッシュ》以上の火力を提供してくれるのでこの部分を除外している箇所は異なります。
(格闘は【精神】が常時加算される割りに良質のマジックアイテムが多い。但し、物理防御低い敵にはコストパフォーマンス低下します。)
前回のエントリでも少し触れましたが、火力を求める場合に《バッシュ》かパッシブで強化するクラスを選択する必要があります。
但し、上級職までしない場合は《エアリアルレイブ》や《ヴァイタルフォース》も選択肢に入っていいと思います*1。(※ 《ヴァイタルフォース》を追記)


◆アタッカー志向のアコPLやシーフPLは、ウォーリアとの差別化も兼ねて「見た目重視」でモンク・ガンスリンガー・ダンサー等の変化球キャラを選ぶことが多い。
この指摘には私は全く異なる意見です。
上でも触れていますが、ガンスリンガーは火力を求める上で良い選択です。
また、アコライト/モンク、シーフ/ガンスリンガーは非常に相性の良い組み合わせでもあります。
それは、モンクで活用する【精神】はアコライトにとっても《ヒール》の回復量に影響を与えますし、将来パラディンになった場合は【精神】が物理防御/魔法防御共に加えることができるためです。
また、シーフ/ガンスリンガーでは、射程をいかし、中衛に位置することもでき、将来スカウトになった場合は、射撃攻撃を強化するスキルがあり、元々の火力とあいまって、スカウトとの相性は非常に高いものとなります。
アコライト/ダンサーは火力という点では相性は悪いですが、拙作の淫蕩巫女のような方向性では相性はかなり良い結果となり、シーフ/ダンサーは公式サンプルキャラクターにも存在する様に、シーフが伸ばす【敏捷】を火力アップに活用できるため、相性が悪いとは言えないはずです。


◆一方、GMはウォーリアPCの攻撃力を基準に戦闘バランスを構築することが多く、重装甲のエネミーが好んで起用される傾向も見られる。結果、アコやシーフがダメージソースとして機能不全を起こすことも珍しくはない。
ギルドメンバーの能力見てから、エネミーを決定すればこんなことは起こらないはずですね。
能力の高いPCにあわせれば、それより劣る同系統のPCに活躍の場がなくなるのは(何もアリアンロッドに限らない)道理です。
これはGMのバランス調整で補う箇所のはずです。

ついでに言えば、PCの長所や得意戦術をことごとくスポイルしてしまうようなマスタリングは避けた方が良いかと。ことさら相性の良い敵ばかり出せという意味じゃありませんが、「普通に戦っていればPCやPTの持ち味が存分に発揮される」というパターンも必要だと思います。

避けた方が良い“避けなければならないものです”だと思います。
これは後日公開予定の“ガチとネタ”というテーマのものに関連するものですが、
GMはPCの長所や得意戦術にその場で対策をとれるが、PCはその逆は行えないということです。
例えば、PCAは物理攻撃が得意なキャラ、PCBは魔法攻撃が得意なキャラでした。
今まではお互いが倒せない敵(Aは物理防御が高い敵、Bは魔法防御が高い敵)を補いあってきました。
ここでGMは、AとBを分断し、Aには物理防御が高い敵を、Bには魔法防御が高い敵をぶつけました。(GMはPCの長所や得意戦術にその場で対策をとれる)
AとBは「実はこんなこともあろうかと」といって、2枚目のキャラクターを出さない限り敵に勝つ事はできません。。(PCはGMの長所や得意戦術にその場で対策をとれない)


以前からTRPG参加者全員が楽しめたら勝ちと言われ続けているのですが、自分がやりたいことがあるように他の人がやりたいことってことをちゃんと認識できないといけないですね。

メン簿スレ的戦闘バランスに迎合した割には攻撃力もそれなり。性格的には、寡黙で他のPCと距離を置いてるけど殺る時ゃ殺るぜ!というタイプでした。

1人のGMの戦闘バランスを見ただけでそれをメン簿スレ的戦闘バランスというのはおかしいと思います。
よく言われる、自分の環境=全体環境と認識するという奴ですね。
アリアンロッドに限っていっても、'emethさん、稲荷さん、テキトーGMさんといった方々の戦闘バランスは決してカツカツではなかったはずです。


何か考えの根本があれだなっと思って“平原殴”というキーワードで検索してみると、

自分の場合はPCが大胆かつヒロイックに動いてくれることを好むので、「戦闘にはトラップをほとんど併用しない(俗に揶揄される「平原殴り合い」がほとんど)」「PCの行動は好意的に解釈し、積極的に採用するというマスタリング姿勢を打ち出す(こうすることでPL側も小細工抜きに動いてくれることが多い)」といった傾向がありますが、当然「それじゃヌルい」という人もいるでしょう。

NAGOYA環境の人にとっては、火力特化してない火力キャラを見ると、“微妙”と感じたり、“活躍できない”と感じてしまうんですねぇ。


こういう考え自体、アリアンロッドに限らず、TRPGで表現できるキャラクターの多様性を酷く狭める結果になっているように感じます。

*1:ウォーロードにならないなら、《バッシュ》にこだわる必要はないため