全員参加型のシナリオ

 F.E.A.R.WotC、SNEなど多くのメーカーが提示するシナリオの流れとして、起承転結の結の部分は大抵の場合、戦闘が入ります。
また、起承転結の部分にPL側から関与することは難しい作りになっています、もちろんこれは一本道シナリオだという意味ではありません。
時には、PLの閃きと共にシナリオ(マスター)が想定していない流れになることもありますが、それはあまり多くありません。
 
 で、今回とりあげる、"全員参加型のシナリオ"とは何ぞや?と申しますと、シナリオの起承転結の部分にPL側から簡単に関与出来るものを指します。
『Made of Honor』を例として説明しましょう。
『Made of Honor』の場合、登場人物は聖騎士、聖女、魔術師、竜騎士、伯爵がいますが、伯爵はマスターが、他の4人の登場人物はPLが担当します。
この時、PL側は、各々成功基準が異なります。
聖騎士は、聖女と伯爵の結婚を邪魔しつつも、竜騎士と結婚しなければなりません。
聖女は、伯爵との結婚を破棄し、竜騎士と結婚しなければなりません。
魔術師は、聖女と伯爵の結婚を邪魔しつつも、竜騎士と結婚しなければなりません。
竜騎士は、聖女と伯爵の結婚を邪魔し、聖女と結婚しなければなりません。
この成功基準だけだと、聖女と竜騎士は相思相愛である初期条件しかない状態では、聖女役と竜騎士役が開始早々お互いに告白し合うことで、シナリオが終了してしまいます。
そこで、それぞれの成功基準に成功段階が入っていました。
例えば、竜騎士の場合、以下の様になっていました。

1p:この恋を諦め、聖女と伯爵の結婚を迎える。
2p:伯爵が登場する前に、聖女に想いを告げ、一緒になる(行動規範を破った)。
3p:伯爵が登場した前に、聖女に想いを告げ、一緒になる(行動規範を守る)。
4p:伯爵が登場した後に、聖女に想いを告げ、一緒になる(行動規範を破った)。
5p:伯爵が登場した後に、聖女に想いを告げ、一緒になる(行動規範を守る)。

この様に成功段階を入れることで、高い成功を満たす為には、開始早々聖女に告白するというアクションを取りづらくしています。
竜騎士以外にも、同じ様に成功段階があるので、高い成功を満たす為には、それぞれが協力し合わなければなりません。
すると、シナリオ(マスター)が起承転結を提示し、それに関与していく従来のやり方と違って、このシナリオの形の場合、PL同士の掛け合いがシナリオを織りなすといっても過言ではありません。
 
 また、PLの掛け合いで十分盛り上がりが出来る為、戦闘が無くても十分に楽しめます。
これは映画でも全く戦闘(アクション)がないからといってその映画が全くつまらないと必ずしもならないのと一緒です。
実際、『Made of Honor』でも途中でアクション(命中判定と足払い判定)はありましたが、戦闘自体は発生していません。
最後の場面でも、伯爵の隣にいる聖女をどうやって、救うかといった課題を提示された程度で、戦闘ではありませんでした。
 
 既存のシナリオと異なるので、ちょっと作るのはめんどうかもしれませんが、こういった全員参加型のシナリオというのも試してみてはいかがでしょうか。